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第一、あれは、都霞が、誘うような瞳で、上目遣いをしてきたから。
つい、反応してしまった。アイツの泣き顔そそるんだ。
ー…順番を、間違えてしまったが。
何時か、気付いて欲しいんだ。
『都霞は、鈍感だからね』
隗が、昔言っていたな。
黒騎士の割には、鈍感で、おっちょこちょいな部分があるだと。翔也様の息子にしては、考えられなかったが。
確かに、見ていたら、おっちょこちょいで、思われている事に、鈍感だ。
けれど、其処は、都霞の良さだと思っている。
『狙っている相手が、居た場合は…』
なんて、自分で、考えたけど。
言わずと、知れている。
振り向いてもらう為に、俺は、相手を、陥れるだろう。
これでも、亡き父みたいな部分があるのを順々承知済みだ。
その分、櫂梛は、亡き母みたいな部分がある。
可笑しな話かも知れないが、俺と都霞は、長い道のりになりそうだな。
あの頃、抱いてしまったのは、明確だし、取り返しの付かない事になってしまった。
お互いの溝は、深まるばかりで、埋まるかも解らないまま。
『見ないで、下さい』
そんな事を言われても、目線は、火照る体に、釘付けだった。
滲む汗は、体躯を蔦って、落ちていく。
扇情的な瞳は、潤んでいて、余計に、男の性を、刺激する。
あれで『我慢しろ』は、無理だ。
都霞は、俺の欲望を、掻き立てる。
鳴呼。
ヤベっ。
思い出しただけで、アソコが、大変な事になってきた。
今度、上手くいけば、口淫でも教えるかな。
翔也様に、内緒で。
現代翁を…。
敵に回す程、俺も馬鹿じゃない。
慎重にいかないと、大変な目に合う。
隗斗のストレス発散道具にされてしまうのは、御免だ。
議会堂を、壊した弟の怒りは、結構、堪える。
異なる瞳が、冷めた色を、出した時は、頭の信号が鳴るんだ。
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