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ー天界・水輝國・三神帝邸・秘密の千華 ゆらりと、揺らめく、蜻蛉の様に、幾つもの楔が打たれている。 此処は、三神帝に存在する秘密の場所。何時しか、蓮華が『千華(せんか)』と、呼ぶようになってしまった。 何故か、それに、答えるべく、彼女は、花を植える様になり、今では、千種類を、超えているんじゃないだろうか。 百合を始め、蒼薔薇、菖蒲、睡蓮、カラー等が、植えられている。 暇潰しには、丁度良い。 そんな考えが、女性の中に、生まれた。 「千綵が、忙しく、切羽詰まるぐらい焦れば、上出来だわ。とりあえず、蓮華…」 『時に、甘い物を、摂取すると、力を、発揮するよ。“●●●”』 相変わらず、抜け目が無い。 甘い物を、食べさせて、力を、使わそうなんて、普通は、考えないわね。 私が、此処に居る理由を、知っているのに。 「何も、咎めないあたり…私が、何をしたのか解るのね。蓮華、覩梦の魂、蒼いのよ」 『知っているよ。僕も、初めて、目に入れた時、驚いたからね。水鬼神の家系、水鬼帝に…蒼い魂を、持って、生まれてくるとは…』 「不思議よね」 『因果応報だろう。ソナタが、此処で、大人しくしている理由が、隗に、関わっているなんて、僕でも予想出来ない…』 思わず『うわっ』と、出そうになった。 何、その、如何にも、知りませんという顔は。 蓮華、いくら何でも、嘘はいけないわ。 ー…どう、考えても。 貴方の人生に付いてきたものよ。 出生は、愚か、彼方の血を、引いているのを、隠していかないといけない蓮華。 そんな姿を“彼女”は、見ていたのを女性は、覚えている。静かに、血の海から立ち上がるのを見送った。 彼女もまた、人の事を、言えた義理じゃない。 “弟”が、生まれるまで、秘密の場所から出る気、更々無いのだから。 「蓮華も、少しは、覩梦の生まれ変わりを見ていた方が良いわ。アイツ目覚めたら、記憶の中に残る懐かしい人物を見る事になる」 絶対、本性が出てくるのを、知っていた。

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