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『ソナタは、本当、僕に』
蓮華は、にっこりと、微笑んだ。
その、あからさまに嫌そうな表情が、彼女らしいと、思った。
「別に、無理強いはしていないわ。ただ、蒼い魂を持つ水鬼神は…何かと、大変でしょう…」
『そこは、隗の役目』
あっさりとした回答に、女性は、呆れた。
本当…。
ー…●●●は。
この世に、転生しながら、三神帝の秘密の場所に、閉じ籠ったままとは。
紅い双眸が、昔を、懐かしむ様に思い出した。
何時だったか、女性は、黒い髪の毛になっていた。何故、そうしたのかは解らない。
身分を、隠したかったのかも知れない。
三神帝の特徴は、黒髪、若しくは、金髪で、瞳は、紅、青、ダークブルーに、近いと言うべきなのだろう。
蓮華からしたら、普通に、居る事が当たり前で、千華に、閉じ籠っている理由が、今後に関わってくるのも解る。
しかし、此処に、閉じ籠っているのも、正直、どうかと、考えた。
彼女が、嫌でも、出すべきなのだろう。
ー…やはり、解放か。
三神帝の総帥が、喜びそうなご褒美だ。
気色悪い。
今、何気に、機嫌が良い彼の顔が。
「隗斗に、任せるのは良いけど、双子の弟、黎斗も付いてくるわ。あの二人、揃うと、彼是と、私を…」
『御愁傷様』
「酷っ!まぁ、良いわ。どの道、関わってくるんだし…」
『ですから、異国の甘い物を、摂取してしまえば、早いじゃないですか。力も使えますし、術式、一気に、掛け合わせてしまえば、これからの余力になりますよ』
彼女が、力を、使わないのを知っている蓮華は、あの時、久しぶりに感じた。
犇々と、伝わる魔力は、何とも言えない恍惚感に、浸りたくなった。
流れてくる純血の証は、今も健在だと、教えてくれたのだ。
流石、三神帝きっての術使い。
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