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【露草side】
朝から、早く起きて資料に目を通していた。勿論、珍しく、隗も起きていた。
そしたら、燐ちゃんと緋神の双子さんが口をあんぐりさせて隗を見つめている。
奇想天外ってところか…。
櫂覇さんは、俺を見るなり顔を赤くした。あれぐらいで意識されても、困るんだがな。
俺に、とったら、たかが接吻だ。好きでもない相手にだって出来る。
脳内を無にすればいいことだから。
『ねぇ、櫂覇兄様の接吻と、俺の接吻、どっちが良かった?』
急に、耳元で囁かれた。
『露草ちゃんは、俺だけを見てればいい』
囁かれる言葉に、内心驚く。先日の、一部始終を見ている筈もないのに、隗は知っている。膝の上に、跨がりながら爽やかな笑みを浮かべ、三人の様子を楽しむ。
「朝からふしだらだろう…」
「じゃあ、兄様達が居ない場所ならいいんだね!」
「話が見えない…」
『ちっ』と、舌打ちする隗。
「いい、会議に行ってくる」
「…」
「行こう…露草ちゃん」
不機嫌さ、丸出しだ。
これで、会議室まで呆気なく、破滅させられたら、現代翁だけじゃなく、十五龍神の方々も泣くな。
果たしたら、父は、胃薬が、倍になるの、確実。俺からしたら、早く、棺桶を、準備してくれていたら有難い。
しかしながら、孫の顔を見るまで、死ぬ気はないだろうな。
『跡継ぎを、見るまで、死ねない…』と、言いそうだし。
ま、見せたら、即、あの世に行く切符を。
ー…用意しておいた方が、利口か。
母は、現実逃避していそうだ。
あの形をしながら、氷蹄帝のご息子。
跡継ぎに、関しては、問題無いが、これからの人生で、隗斗と、深く関わってくる訳だし、会議室を、破壊されたら、暫くは、戻ってこないの、確実。
それだけ、隗の倒壊癖は、迫力がある。
五大王族の頂点に立つ『三神帝』が、開催する社交パーティー。
纏まるかは、周りの者が、手早く済ませる事に限る。
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