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濡れた華びら(前編)

ー天界・水輝國・水鬼帝邸・リビング 翌朝、珍しく隗斗は早起きだった。 口を開けたくなる光景に燐夜は愚か、櫂覇や長男の櫂那は驚く。 「なに、珍しそうに見つめてるの?」 「いや、今日は寝起きが良いなと、思い」 「今日は、大事な会議なんだ。来ないと魔由羽に怒られるからね!」 カップに、入っている珈琲を口に運びながら、朝食の食パンをかじる。 「あんなに嫌がってたのに行くの?」 「うん。この前は議会館壊したし、流石に、会議来ないってなったら『獅天の怒りをかいますよ』と、忠告受けたから…」 「獅天の怒りをかいたくないから会議に素直に出るのか?」 「櫂那兄様、少しは、櫂覇兄様みたいに静かに出来ませんか?同じ事は、二度も言いませんよ…」 「ってコトは、露草も一緒なわけか」 ソファーに、座りながら資料に目を通す人物に視線を映す四人。 真剣な目をしながら小まめにチェックを入れている。その露草を見ながら櫂覇の顔が染まった。 「露草、お前、隗斗に何かしたら許さないからなぁ」 「手を出す様な、子供じみた事はしませんよ。それより、櫂那さん、今、大切な資料を見ているので静かにしてくれませんか…」 冷めた声音が、彼から零れる。 意識をしているのが、己だけだと、気付いて欲しいが。流石に、突っ込みを入れられない。 資料の内容を、頭に、叩き込まないといけないのだ。 長男が、育ててるからと言っても、やはり、会議に支障を出す訳にもいかない。 櫂覇が、意識しているのは、先日の件だろうが、蚊に刺されたとでも思ってくれた方が楽だ。 露草は、小さな溜め息を、吐いた。 この男…。 あからさまに。 紫水晶色の双眸が、相手を、睨んでしまう。 脅す訳では無いが…。 仮にも、鋭い洞察力がある弟の前で、顔に出すのは、生け簀か無い。

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