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ー天界・水輝國・水鬼帝邸・リビング 微かに、皮肉れながら隗斗は、座っていた露草の手を引っ張る。 今まで、隗自身から行動に、出す事はなく何時も、露草を鬱陶しがっていた彼が積極的にするのは初めだった。 「雪でも降りそうな勢いだ…」 「う、うん」 隗斗の冷たい言葉を浴びた双子はがたぶる。弟がまさか露草の膝上に乗り、しかも、手を引っ張りながら会議に行ったのだから。 「俺、なんか隗に悪い事したかな?」 「さぁ」 「たまたま、虫の居所が、悪かったんじゃないのかな。昨日みたいに…」 「燐ちゃん、朝食にしよう」 櫂那は、椅子に座る。ぼーっと、立っている櫂覇を、椅子に座らせ、燐夜は朝食作りに取りかかる。 特に、今日は、虫の居所より、上の方だと櫂覇は一人で思う。 「朝が、初めて、恐いと感じた」 「…あぁ」 互いに、アイコンタクトをとる。 ー…双子で、通じ合うもの。 それは、末弟が、いつになく、恐い事。 燐夜の朝食が、喉に通るか、櫂覇は、心配した。 何故なら、いつも美味しく頂いている料理を、残す行為は、失礼に値する。 どんなに、弟が、機嫌悪かろうと、彼は、残さないのをモットーにしてきた。だが、今日で、体質が変わったら、大好きな白身魚のレモンソテーが、食べられなくなる。 仄かに香るマジックソルトと、バジル。 バターに焼かれた表面は、かりっとしていて、中身は、ジューシーに、仕上がっているのが好みだ。 其処に、レモンのさっぱりとした味わいが、広がる。 ー…何とも、言えない絶妙な味。 これが、美味しい。 今なら…。 真鯛か、黒鯛か。 あぁ……。 食べたい。 思わず、涎が、出そうになった。 ー…あれは、作りたい。 そんな事を、思っていた櫂覇だった。 白身魚のレモンソテーとは、白ビネガーも、ベース。 あの、柔らかい香りが、堪らない。

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