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長年と、掛けてきた計画を、無駄にしないのが彼だ。
ー…何たって。
主である隗斗は、四十年前から姿が、変わらない。
そんな、大それた事を、公にする訳にもいかないのを、獅天は、知っている。
『四百年前、僕は…開かずの間を閉めた。これから起きる事に対しての準備をしなければいけないから』
確か、四十年前に、言われた科白。
三神帝には、開かずの間という、鳥籠が存在する。
頂点である御上しか入れない場所。
それを、彼は、四百年前に閉めた。
『ここが、開けられるのは、全てが終わってからだ。僕が…三神帝に戻ってから、開けるとするよ』
開けられるのも、時間の問題なのは、解っているが、気紛れな部分が、生じてか、気付かない。
獅天は、唖然とさせられる。
うわぁ…。
獅天の、呆れ顔。
『コイツ、内容を聞いているのか』という感じの表情。
隗斗は、獅天の顔を見ながら思った。
会議の内容が、クソつまらなくっても、今回は、議会堂を壊す事はしない。
何故なら、大事な家族に逢う機会を、自ら壊すのは、好ましくないからだ。隗斗の中でのルール。
美しく、芸術の様に愛する殺戮に関して、何個か、作った。
素直に…。
参加したのだから、少しはね。
ー…敬意を、払わないとね。
頭の中で、隗斗は、ニヤリと、笑う。
これからの事が、楽しみでならない。
老い耄れを、引き摺り落とす瞬間を想像しては、恍惚に浸る時を、待っている己自身が、酷く、恐ろしい心を、持っていると思った。
後、少し。
躾が、必要な異父弟に、動いてもらわないといけない。
この世に、誕生した事を、悔やむ日が来るのが惜しいくらいに、殺戮の楽しさを、覚えていない彼が、隗斗からしたら、存在すら疎ましく思えた。
しかし、此処は、使える駒として考えれば、楽である。
その為に、四十年、費やしてきたのだ。
一つの、ズレも、許されない。
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