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【隗斗side】
ムキになって、露草ちゃんの手を引っ張ってきちゃった。
何か、櫂覇兄様が、顔を赤くした時点で、モヤモヤ感が生まれた。露草ちゃんは、普通だったけど、見ている俺はムカついた。
よりによって、自分の兄が、顔を染めるなんて油断していたな。櫂覇兄様は、都霞を好きだと思っていたから安心していた。
露草ちゃんも、俺が振り向いてくれるまで『待つ』って言ってくれたから考えてみようかな?と思った。
けれど昨夜、ゴミ処理しながら考えたけど、悩んでる時間なんてないんだな。
“アイツ”とは全然違うけど、もう一度許されるなら恋をしてもいい。
誰にも邪魔をされない今なら、許されるだろうか。
露草ちゃんなら…。
―…大丈夫だろうか。
「隗様、話の内容聞いていますか?」
「一応…」
「感心しないな。明日の事を話しているのに、当の本人が無関心とは…」
「ごめん。内容は、メモるから続けて…」
本当なら、会議なんて参加せずに、ずっと悩んでいたいよ。
明日のパーティーにも興味などない…。
黎斗や、父様が来るから顔を出すだけ。
そんな事より、自分の抱いている想いが一番、重要。認めないといけない日がきた。
それは、解っているんだけど、先程の、獅天の、呆れ顔。
面白い程に、笑えた。
部下を、困らせる事が、出来て、嬉しいよ。
それに…。
綵竝を、動かす理由も、出来た。
最高の…。
メインデッシュになる。
俺は、殺戮神として生まれたのだから、のうのうと、平和な生活をしている異父弟を、殺戮の世界へと、導く役目があると思う。
壊れた人形が、勝手に、綵竝だけを、殺戮から遠ざけたりするから、躾が、出来なかったじゃないか。
それも、亡くなったから無効になった。
ー…だから。
俺が、教えてあげる。
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