72 / 94
6-15
もっと早く、素直になってれば良かったのか。それとも、今だから、素直に、受け止めようとしているのか。
俺の中で、弾けた想いは知っている。
決して、認めてはいけない感情だと自覚もあるしね。
―…欲しい。
何とも、醜い欲望だ。持ち主に似て、欲しいと思えば手に入れたくって触手を伸ばす。
欲しい。
この闇にまみれた男が…。
自分のモノに。
誰にも渡したくない… 。
まるで、殺戮を楽しむ様な感情。露草ちゃんの闇が冷めた感情を癒す。
鳴呼…。
いっそうのコト 。
手に入れてしまおう。
「―…い、隗?」
獅天の声で、現実に戻された。
「あー…ごめんごめん」
「現実逃避とは…」
嫌だな。現実逃避じゃないよ。
今から、彼をどいゆう風にして、手に入れようか考えていたんだよ。
俺は、自分が欲しいと思った者を易々と手離さない。
躾がいのある男を逃すのは、惜しい。
そんな事を、他所に、考えているあたり、狂っているだろう。
不純物を、躾しながら、露草ちゃんも、一緒となる。
俺の中では、快楽と同じ。育てる条件は、必要か、不必要か。
『あの、闇は、薄いわね…』
悪かったな。
ー…●●●。
『貴方が、鳥籠に戻った時、私は、姿を、顕しても良いわよ。ただ、蓮華が描いていた世界は、少し違う気がする。彼が…目覚めた時が、楽しみね。隗…』
四百年前に、自ら閉めた開かずの間。
三神帝に、戻った時、開かれずにはいられない。
“彼”が、目覚めるか…。
ソナタが、考えている事は、三神帝の秘密を、容易く、暴いて欲しくないのだろう。
●●●、その身で、秘密の場所に、閉じ籠った三神帝の姫。
その姿は、繊細で、残酷。父様は、出てきて欲しいんだろうけど、彼女が、首を振る訳がない。
ー…もう、何年と、見ていないな。
彼女の、本来の姿を。
狂い桜は、知っているのだろうか。
●●●が、背負っている罪の重さを。
ともだちにシェアしよう!