76 / 94

6-18

ー天界・水輝國・議会堂 「こいゅう場所で、生きたいなら、二度と、俺に媚を売るような真似はするなっ」 キツい罵声が、上げられた。隣に座っていた隗斗は、初めて彼が、激怒している姿を静かに眺め、ニャッと、口元がつり上がった。 「…っ」 「泣けば、済む問題じゃないだろう」 「ヒドイっ、くふっ…」 若い貴族神は、露草の科白に涙を浮かべる。 「ちっ、母上悪いですが俺、帰らせて頂きます」 「あぁ…」 浅黄色の髪をした男性を、彼は『母上』と呼んだ。母上と呼ばれた男性は、水鬼帝の妻にあたる『水鬼 駁』。露草を含み後二人息子を持つ。 「最近の貴族神は、教育がなってない。何でもかんでも媚さえ、売ればと、甘い考えを持つ。よく、それで、恥じない人生が、送れるもんだ。俺からしたら考えきれないなっ」 そう、云い、露草は会議室から出て行った。 「露草の前で“蒼氷の薔薇”と、口走ったのはヤバいだろう。虐げられる趣味でも持っているのか?」 「駁王、私達の教えがなってないあまりに、不甲斐ないです!」 年相応な貴族の輩達が頭を下げる。 小さな声で、呟いたからと言っても、人は、嫌な事に、敏感だ。特に、噂という物は、気になってしまう体質。 些細な事でも、不快感と、感じれば、それはセクハラになる。 貴族生まれでも、若人過ぎるのが、傷だったり。それが、幸してか、恵まれる輩も、居る。 ただ、あの名前を、言うのは、間違っていると、思った斑。 息子は『蒼氷の薔薇』と、呼ばれるのが、疎ましく感じている。 どんなに、期待されても、応えられない部分があるからだ。 それを、斑も、諷夜も、知っているから、あまり表で、裏の性格を、出して欲しくないのが、本当の気持ちだったりする。 たかが、肩書きを『気にするな』と、言ってやりたいが。それでは、逆に、重荷になってしまうだろう。 年頃という年齢ではないが、何かと、悩みが多い時期。

ともだちにシェアしよう!