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ー天界・水輝國・議会堂
「こいゅう場所で、生きたいなら、二度と、俺に媚を売るような真似はするなっ」
キツい罵声が、上げられた。隣に座っていた隗斗は、初めて彼が、激怒している姿を静かに眺め、ニャッと、口元がつり上がった。
「…っ」
「泣けば、済む問題じゃないだろう」
「ヒドイっ、くふっ…」
若い貴族神は、露草の科白に涙を浮かべる。
「ちっ、母上悪いですが俺、帰らせて頂きます」
「あぁ…」
浅黄色の髪をした男性を、彼は『母上』と呼んだ。母上と呼ばれた男性は、水鬼帝の妻にあたる『水鬼 駁』。露草を含み後二人息子を持つ。
「最近の貴族神は、教育がなってない。何でもかんでも媚さえ、売ればと、甘い考えを持つ。よく、それで、恥じない人生が、送れるもんだ。俺からしたら考えきれないなっ」
そう、云い、露草は会議室から出て行った。
「露草の前で“蒼氷の薔薇”と、口走ったのはヤバいだろう。虐げられる趣味でも持っているのか?」
「駁王、私達の教えがなってないあまりに、不甲斐ないです!」
年相応な貴族の輩達が頭を下げる。
小さな声で、呟いたからと言っても、人は、嫌な事に、敏感だ。特に、噂という物は、気になってしまう体質。
些細な事でも、不快感と、感じれば、それはセクハラになる。
貴族生まれでも、若人過ぎるのが、傷だったり。それが、幸してか、恵まれる輩も、居る。
ただ、あの名前を、言うのは、間違っていると、思った斑。
息子は『蒼氷の薔薇』と、呼ばれるのが、疎ましく感じている。
どんなに、期待されても、応えられない部分があるからだ。
それを、斑も、諷夜も、知っているから、あまり表で、裏の性格を、出して欲しくないのが、本当の気持ちだったりする。
たかが、肩書きを『気にするな』と、言ってやりたいが。それでは、逆に、重荷になってしまうだろう。
年頃という年齢ではないが、何かと、悩みが多い時期。
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