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『燐夜、すまん…』
悲しい顔をしながら、兄さんは、僕に、謝った。
父上を、助ける事が、出来なかった事に、今でも、責任を感じている。
あの時の僕は、三歳になったばかりで、父親や母親が、必要な年齢。父上は、僕達に『新しいお母さんは、欲しいか?』と聞いてきた。
それに、兄さんは『燐夜が、幸せなら』と、答えたのを覚えている。
あの、兄が、初めて、自分の心中を、語ったのは、再婚をしようと、決意した父上を、見た瞬間だった。
ー…まぁ、令嬢である事は、変わりないよね。
父上、美形だったし。
『燐夜』
優しく、囁く、父上。
何時も…。
息子想いで。
なんて、懐かしさを、感じていたんだけど。
「というか、櫂梛ぁぁぁぁ…」
視線が、思わず、櫂梛に、いってしまった。
「露草の、行為は、父親譲りだから、諦めなっ…」
正直、あれは、素なんだよ。
兄さんが、抑えさせたい露草の性格。どう、考えても、貴族神達が、媚びるから、出てきてしまうんだけど。
僕も、あれだけは、手に負えない。
馬鹿で、居てくれる方が、助かる…。
うっすら、隗も、思っているだろうな。
あの、仮面を、剥がすと、鬼畜な部分が『こんにちわ』とするんだよね。
謂わば、引き金が、入ると、恐ろしいんじゃなく、漂う空気が、絶対零度になるんだ。
まぁ、隗の後ろにあるバッグよりは、マシな気もするけど。
ー…はぁぁ。
思わず、溜め息が、出てしまう。
何が、悲しくって…。
甥っ子の、顔色を、見ながら、バロメーターを、計っているんだろうと、思ってしまう。
僕は、一応『伯父』に、あるのにね。
寧ろ…。
露草の方から、僕に対して、敬う気持ちを、持つべきだと思う。
禿げてしまえと、心の中で、悪態を、吐いておくよ。
実際、禿げたら、隗と、笑おう。
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