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ごく、たまに、確信を付いてくるから、驚いてしまう。
過去に、眠っている者を、起こす悪趣味はしていない女性。どちらかと言えば、千綵は、磨きが掛かっていて、悪どい事三昧で、此方が呆れるくらいうっとりした表情で、寝ている者を起こす癖がある。
彼のは、単なる暇潰しにしか過ぎないのだが、あれを、目撃したら、暫く、距離を置きたくなるレベルだ。
所有物に五月蝿い三神帝の者にある傾向だろう。
とりあえず…。
千綵は、要注意人物。
彼の趣味という気紛れに、付き合わされた瞬間、一瞬、殺意を覚えて、鈍器で、殴りたくなるわ。
神に、属している癖して、顔が、悪どさと、黒さ満載なのよ。
思い出すだけ、沸々と、甦る千綵の悪行。
流石に、目が瞑れないレベルに来た時、彼女は、言った。
『千綵…目に余りますわ。私、確かに、表には出ないけど…これだけ言えるわよ。気を荒立てて、紛らわしているつもり?そんなに、妻がした事が、許せない?』
『●●●、君には、解らないよ。裏切られるという事が、何れだけ、悲しく、憎いものか。僕はね、自分のモノに、手を付けられるのが、一番嫌いなんだよ…。例え、愛していない妻でも、僕の所有物だ』
『だったら、殺してしまいなさい。昔みたく、許せないというなら、その、嫉妬と共に、殺してしまえば良いわ…』
そう、けしかけた時。
彼は…。
驚いていた。
まさか、己が、世話している三神帝の姫からの口から出る科白じゃないと思ったのだろう。
妻を殺す提案が、出てくるとは、誰が思うのだろうか。況して、引き籠りと言っても過言ではない彼女の口から。
だからか、隗斗のタイプを見ていると、甘いなと感じるのは。
闇は、濃いければ濃い程、美味しいモノだ。
年齢を重ねて、やっと、辿り着いた味。
私にだって、お酒の好みがある。
素材を生かした物も、勿論、美味であるが、素の味が好きだ。
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