『何れは､銀莱帝に嫁ぐ身ですので､護ってやらないと…私が､兄に､殺されます…』 確かに､暁草は､将来､銀莱帝に嫁ぐ運命｡ 今､虫を､排除しておかないと､後々､面倒臭い｡現代翁である翔也も､考えたものだ｡ 兄の許婚である彼を護るっていれば､恩を売れる｡ 仇で返す事はしないから､尚更､株を上げていれば､火の粉は､飛ばない｡ それを､予測して行う彼は､計算高いと言えるだろう｡ でなければ､今の座が無いのも事実だが､彼程､優秀な人材はいないのは､明確だ｡ 三神帝に仕えるという意味が､どいゆう事かを､理解している｡ 『それは…銀莱帝の血筋ですもの｡千綵が､総帥としての座を､確定された時に､彼の席も､用意された』 まだまだ､浅はかな､隗｡ これは､遊戯じゃなく､真剣勝負なのよ｡ どう､打とうが､転がるのは､人生の一つだけ｡ 『私は…そう､学んだわよ｡四千年という蓮華が､生きてきた時間と､後､千年ぐらい足りない時間を』 不適な笑い声と共に､女性は､隗斗には聞こえない声音で､囁いた｡ この世の掟は､私が､罪を犯したと同時に､脈を打った｡ 世界の始まりを創ったのは“彼女”｡ でも､水輝國を､創った蓮華は､己の全てを受け入れて､御子を護る為に､魔方陣を､仕上げた｡ その意味を､果たして､隗斗は､理解出来るかしら｡ 『ー…あの､弟､魂から出来上がる意味を理解しているのか､不思議だわ…｡何も､生まれ変わる必要も無かった気がするけど､本人の『姉さんの為に』という､固執した願望の為に』 一瞬だけ､隗は､女性の言葉が､脳裏に､響いた｡ 声で､解るが､あれは､怒り｡ 何とも､珍しい現象だ｡ 普段､感情を､徐にしない彼女が､苛立ちを､覚えるなんて｡ 四千四百年生きてきた中で､初めて聞いた声音｡ これはこれで､新鮮な気がした彼は､思わず､微笑んだ｡