95 / 107
8-12
【諷夜side】
知っているぞ。
暁草を、是非、嫁にしたいと願っているのは、翔也様の兄であるのを。
故に、禪は、翔也様のご息子である次男坊『亜柘羅』だし。水鬼帝は、呪われているのか。
現代翁の家系が、関わってくるとか、呪いとしか思えない。
だが、文句も、言っていられないのだ。
繁栄を考えたら、やはり、ご好意に甘えるべきなのだろう。
息子達を好いてくれているのは、あちらなのだから。それを考えれば、水鬼帝は、幸せなのかも知れない。
他の一族は、知らないが、水輝國の頂点に立つ、三神帝は、争いが耐えないし、緋神帝に関しては、咽鬼の跡継ぎである双子が、結婚さえすれば、問題は無いんだろう。
問題は、夜神帝か。
彼処は…。
総帥が、亡くなってから、息子である妃奈騎が、後を継いでいる分、早く、表の舞台に立たなければいけない。
『世に言うSPTDだ』
事故や、ストレスで起きる病気。
『た、助かるんですか…』
『何とも言えない。この状況で、妃奈騎に…問うのも可笑しいだろう』
王族同士ではあるが、幼い頃の彼を知っている為に、気になる。
十五龍神の方々の顔は、難しそうな表情をしていた。皆して、口を揃えて言う。
『この件は、隗斗に任せろ』
何故、其処に、隗の名前が出てくるのか解らないんだ。
一体、十五龍神は、何を考えているのか。
確かに…。
彼は、素晴らしいくらいに、三神帝の血も引いているのだろう。
慧弥が、母親なのだ。三神帝の御曹司である彼からしたら血は、贖えないだろうな。
あの、千綵様の息子である慧弥は、れっきとした血を引いている。
故に、櫂覇や櫂梛には無いのを持っているのが、隗斗だ。
露草が、惚れてしまうのも仕方ないか。
親としては、嬉しいんだ。
そう、呪いの様に、銀來帝のご息子を選ぶ無粋な禪に比べればな。
暁草は、もう、嫁に行くしかないだろう。若き頃の母親、つまり、駁みたいな息子。
ともだちにシェアしよう!

