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8ー14
【●●●side】
甘いのよ。
水鬼帝の総帥として、君臨した時、お互いの秘密は、守らなければいけないでしょう。
覩梦の場合は、そうしていたけど、血筋の者に、無理強いしても駄目ね。
私まで、夜神帝の『奈兎』に、忠告されそうだわ。
あれは、燐兎と、話し合った結果なんだと。
謳櫻も見ていた光景なんだから、納得しろと、言いたいのだろう。
だけど、私は、納得出来る程、出来た神だろうか。
そんな自問自答しても、答えは、決まっている。
隗が、弟を宿す時…。
運命は廻り出すと、決定なの。
だって、あの子、私のアレになるのでしょう。
曾て、とある双子の神は、ある賭けをしました。
三神帝の御上である蓮華の運命に関して、凄く、興味を抱いたから。
『へぇー…生まれてくる御子が、鬼子とは』
『三神帝の血と、水鬼帝の血ね…』
-…面白い。
『…姉さん、賭けをしようか。勝ったら、三神帝の御上の座は、蓮華の血筋のまま。後は、姉さんが、契りを交わさなくても良いと言うのは?』
『無理よ。私の契りは、三神帝にとって、大事な事でしょう。曾ての神は、櫛に変身したらしいけど、私は違うわね…。それに、蓮華の跡取りは、千綵の息子でしょう。貴方が、目覚めるまで、謳櫻と、見守っている事にするわ…●●…』
『それは、僕が、目覚めるまでの間?ねぇ…蓮華の子は、女…?それとも、男?良いよねぇ、初々しい水無』
そう、楽しそうに微笑む弟が、彼の息子の名前を呟いた時、新たな音が鳴り始めた。
三神帝の掃除の合図。
要らない物は、排除…。
隗斗の中で、含まれた現、総帥を殺す事。
復讐は、毒の味で、不味いモノ。
「まったく、久し振りに、呼ぶじゃない…。五華(ごか)」
私を、呼ぶなんて、貴方も、随分と、年を取ったわ。
後から『ソナタもな』とか、言われそうね。
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