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8ー15
狂い桜と、言われているだけあり、妖しさは、相変わらず。
それでも、三神帝を護っている聖霊なのよね。遠い昔に、魔族の皇子を見つけてから、ずっと、守ってきた存在。
蓮華は…。
『…』
理解出来ているわね。
でも、水鬼帝の血筋の者は、無理ね。
まだ…。
若い。
-…えぇ、若い。
だから…。
隗が居る。
私は、貴方に、賭けているのよ。
三神帝の、鳥籠に、戻って来なさい。
-…隗。
そしたら、五華(ごか)も、安心して、眠れるでしょう。
長年、待たせてきたのだから、少しは、気を使ってあげるべきだと、私は思うわ。
でも、彼は、そうはいかないわね。
「奈落にとっては、滅ぼしたい相手。けれど…因縁とは、繋がっている物なのよ」
私は、其処に、触れてしまっているのも、問題だとは思うけど、宿命は、変えられないから。
仕方無しに、頷くだけよ。
「あぁ、たまには、お酒を、飲みたくなったわ。蓮華、付き合ってよ」
『僕に、付き合わせて良いのかのぅ。折角の…晩酌。●●●は、二人で飲もうと考えているのかい…』
「あら、嫌なら、良いわよ」
『負けたわ。僕の、負け…』
そうこなくちゃ。
お酒、楽しみだわ。
「たまには、三神帝の御上を負かすのも、一驚ね。何時も、蓮華は、澄ましていて、決して、人の立ち入りを許さない。気を緩めないのが、モットーみたいな神だもの」
『それを言うなら●●●も、同じじゃないか。君も、人を寄せ付けず…何時も、冷めた瞳
をしている。僕に劣らない所なんか、恐ろしいのぅ…』
「…」
これは、私と、蓮華だから出来る会話。
解ってはいるが、若干、イラッとするのは何故だろう。
この、長年、時の中を生きていると、歪んでくるのかしら。
悠然と、何も無かったかの様に、接している辺りが凄いわ。
伊達に、血の中から生まれてないわよね。
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