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8ー16

-異界 闇夜に、サササッと、葉音が、嵩む。 湖の中に、一つだけ光が、照らされている。 此処は、狂い桜と言われている桜の大樹が作り上げた世界。誰もが、入れる世界ではないのだ。 此処に、呼ばれた女性は、久しく、こちら側の感覚を忘れていた。 四百年前は、何の気も使わなく、訪れていたのに、今では、さっぱりだ。 理由は、蓮華が、亡くなってから一度も、彼女自身が、空虚だったから。それと、時がくるまで、眠りに就いていたのも、一つ。 その他は、隗斗が、成長するまでの猶予だった。 だから、一度も、彼が作り上げた世界に、足を運ぶ事はなくなった。 しかし、自ら、女性を呼ぶのも可笑しい。 同じ、時の中を生きている様な同士とも言える関係だ。言えた義理じゃないが、引きこもりは、一緒。 『久し振りだな。●●●…』 「鬼桜が、吹き荒れる日は、色々と、予兆が訪れる」 『解っているなら、隗斗を、開かずの間へ…戻さなければな…』 それは、知っているわ。 一族の集結が、近い日に、彼だけ留守なのは、反則。 「あの子が、素直に、戻るかしら」 『無理やのぅ。なにせ、三神帝の御上は、気まぐれ』 ふわりと、開かれた扇子。 蓮華は、口元へ、当てながら、話す。 鬼桜と呼ばれる彼こそ、三神帝を護っている聖霊。姿は、滅多に、現さないのが普通だったりする。 しかし、彼女は、知っていた。 その姿が、神々しいまでに、美形だと。 此処に居る蓮華が、肉体の一部を与えて、人型が、保てる様になったのだと。 しかしながら、必然だ。 「私は、五華が、どうしてもと言うなら、再び、隗斗を、夢殿へ、案内するわ」 だけど、まだ、早いと言うなら、彼女は、瞳を閉じた。 考えは、沢山あるが、どれが好ましいのかを、選択しなければならない。

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