100 / 107

8ー17

例えば、彼を開かずの間に戻すなら、手段を選んでる場合じゃないのだろう。 だが、頭の回転が、人一倍、早い隗斗なら。 勘付くだろう。 女性が、何を取るのか。 強行手段で、夢殿に、引っ張るというのもアリだ。 過去の自分と、向き合う羽目になるが、取るに足らない事だと、自覚している。 其処で、最新的に何が良いのかと言えば、やはり、堕ちて来てもらわなければいけない。 術を屈指して、誇示付けても、彼女の意に反する。 なら…。 隗、鳥籠を開けてもらわなければ、困る。 術を使って、跪かせるのは、私の美に反するから、やりたくないのが、正直な、気持ち。 『相変わらず、おっかない』 「だって、楽しい事は、楽しまなきゃ損ですわ…」 『ソナタの趣味を疑う…』 「…蓮華に言われたくないわ」 趣味は、お互い様だろう。 三神帝に生まれた以上、背負う重さは、違えど、楽しみ方は、肝に銘じている。 己の嗜好を、理解していて、何が悪いのだろうか。そいゆう、蓮華ですら、エゲつない事を考えているのは、見え見えだ。 術を使って、隗斗をからかおうとしているのは、間違いないだろう。 女性の趣味が、敢えての調味料なら、彼のは、スパイスと言った所。 『で、呼ばれた理由を聞かないのか?●●●』 「聞いて、どうするのよ!どの道、開かれたモノが、閉じるという事は、不可能なのよ。私や、蓮華が、何を願うか…五華は、解るでしょう…」 そうだ。 彼なら…。 解っている。 この、空間に呼んだ時点で、廻り始めた物が、目を覚ます合図なのだと。 でなければ、姿を顕現させてからでも、話し合えば良いだけ。それをしないのは、きっと、三神帝に関わっているから。 目を閉じていても、彼女には、解っている。 何処からともなく聞こえてくる軋む音が、水面に映る波紋に伝わって、耳に入ってきていた。  

ともだちにシェアしよう!