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-天界·水輝國·水鬼帝邸·隗斗の寝室 「眠い」 瞼を、擦りながら、男性は、ベッドへ、倒れ込んだ。 -…今宵は、何だか。 凄く、眠気に贖えない。 まだ…。 早すぎないだろうかなんかって、脳裏で考える隗斗は、重たい瞼を閉じた。 何処へ、案内しようとしている。 古き、神々よ。 『貴方が、目覚めなければいけない世界…』 -…●●●…。 何処からともなく、聞こえてくる声音に、隗斗は、意識を失うのである。 これは、必然にも、導かれた結果なのだろう。三神帝の姫が動き出す合図が、鳴り始めるのが解った。 女性専属、九尾隊が、動き出す。 「…筆頭は」 地を這う大きさを持つ、彼だろうか。 明けの明星に、輝かんばかりの夜を思い描かすのだろう。 隗斗の脳裏にある記憶は、うっすらと、残っているだけで、容姿がどうとか、性格がどうとかは、まったく、不鮮明であった。 ただ、凄く、精悍な顔つきをしていた様な感じが面影に残っている。 『-…そんなのは、単なる曖昧な記憶よ、隗斗。どんなに、覚えていようと、断片にしか過ぎない。例え、私専属の九尾隊でもね…』 まるで、記憶は隠蔽が出来ると、言われてる様だった。 『片隅に残っている記憶。動く、九尾隊が…』 ふんわりと、桜の匂いにも近いが、明らかに、フラワーシャワーを浴びている様なフローラルな香りが、漂う。 これは、女性特有の香りだろうか。それとも、夢の案内人の匂いだろうか。 不思議な薫りに包まれる彼は、思わず。 「靄華(あいか)」 寝言で、名前を呼ぶ。 『…これ、水鬼帝の若君である三男坊に、付けておくわ。隗』 一瞬だけ、姿を現した女性が、冷めた色合いで、彼を睨み付けた。 こんな所で、名前を呼ぶとは思わなかったのだ。 他の者が、聞いていていなかったとはいえ。掟は掟。 無防備に、名前を口にするのは、反則だ。

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