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第九章:華やいだ世界に、光の輝き。

-天界·レイ·光皇城·風鈴の神殿 此処は、光王族である神々が、崇拝する姫神が棲んでいる光皇城。 年に数回、王族の者は、此処にて、社交パーティーを行う。 「相変わらず…華やかですね」 辺りを見渡す女性は、豪華絢爛さに、鬱陶しさを感じていた。 何故なら、周りに居る貴族神達の、期待の瞳が、苛立ちを覚えさせる。 「妃膤、失礼だよ…」 「黎斗兄様、だって、あの、媚売っている瞳」 サラサラな金髪の色をした男性は、彼女に言う。 兄が言っているのは理解出来る。が、貴族達の狙いが、自分達にあるのを許せなかった。 何年ぶりかに、開催された社交パーティーだからこそ、楽しみたいのは解る。 しかし、こうして、水輝國の五大王族が集まるのは幾年ぶりになるのか、指で、数えても、少ないくらい。 此処は、政治なのだ。 媚と、出世と、勲章を翳して歩く、豚野郎が居る世界。 そう、妃雪は、学んできた。 「駄目だよ。妃膤」 「父様」 「…それでは、隗が、泣いてしまうよ」 ニコニコしながら、女性に話を掛ける男性。 彼は、水輝國、五大王族の一人『三神帝』の総帥である。 この男ありてと、思うが、周りの声を聞いていたら、解る。 『三神帝の方々で、御座いますわ』 『美しい…』 その声は、あちら此方から、響き渡る。 だが、一つ言えるのは、彼女には、上に四人の兄が居る事。本来なら、二人傍に居るのが、普通。 けれど、一人は、四十年前に、失踪し。 もう一人は、数カ月前に、殺された。 それも、三番目の兄『巫騏(ふき)』により。 祖父の命令だったとはいえ、天然兄に、四番目の兄を殺せる程の技術があるとは、到底思えないが、隠蔽されているのは、明らかだ。 -…隗斗兄様。 頭に、浮かんだのは、長男だった。 この場に居ない、もう一人。 嘗て『殺戮の桜』と、呼ばれた三神帝の頂点に立つ者。

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