107 / 107
9ー3
仕方が無いと言えば仕方が無いんでしょうね。
露草王の人気ぷりは、半端ない。
故に、苛々が募ってしまうのは隗坊っちゃんの執着心が、そうさせている。
「隗斗だって、人の事を言えないだろう」
「俺は、良いだよ。何処の輩が、襲いに来るの!誰だか解らない限り、アホな行為はしないから…」
確かに、命知らずな馬鹿が居ない限りは、狙いませんよ。
周りを見なさい、暁草。十五龍神及び、現代翁である私も居るんです。
そんな凶器とも言える場所に、突進してくるお馬鹿さんは居ません。
「けど、あれは」
「ね、本当、困った王だ。俺が居るのに、目移りとは…」
「か、隗?」
「あっ、いけない。ついつい力を入れてしまった。一度、誰のモノかを、叩き込まないと、解らない様だ…」
そんな、耳元で、囁いたら、暁草が、倒れます。
洒落にならないんですよ。
本性、若干、丸出しな隗坊っちゃん。
「暁草、あまり煽らない方が、宜しいかと」
「…えっ」
異なる瞳が、怒りに満ちているんです。
三神帝の方々、特有の所有物には触れられたくない独占欲なんですよ。
だって、目の前に居る方達は、良い見本ですから。
特に…。
千綵様は、匹敵します。
澄ました顔の裏は、嫉妬の塊で、覆われていますからね。
「あ、あの翔也!」
「はい、何でしょうか?妃膤様」
「今度…是非、彼女を、貸して下さいませ。ご迷惑でなければ…」
鳴呼、妃膤様の心を、擽りましたか。
「ちょっ、妃膤、ストップ!彼女って?」
流石、感入れずのツッコミです。
そういや、暁草を男とは、教えていませんでした。無論、彼女が女にも、見えても仕方ありません。
付いているんですが…。
私や、隗坊っちゃんと同じ一物が。
悲しい性ですね、暁草。
三神帝の皇女様に『女』と、間違われて。
ともだちにシェアしよう!

