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13 やがて虹がかかるまで①
「まさか、ケロス様がこんな命令をされるなんて……」
俺はケロスの命令を遂行するべく、謁見の間から自室に戻り、ベッドの上で正座していた。向かい側には当然のようにヒューネルがいて、俺よりも寛いだ様子で足を崩し、じっと俺を見つめている。
ここに来るまで散々くっついていたというのに、その視線が、意識すればするほど恥ずかしい。
「何か、俺たちが神産み?とかいうことができたのも、無自覚のまま、単にセックスをしただけでできてしまったかららしいよね。だから、力の全てをあの俺たちの息子?に渡してしまうには、セックスをすればいけるんじゃないかとか考えたって言ってたね。俺たちが完全に神じゃなくなって人になれば、ずっと一緒にいられるし、普通の人生が送れるって」
「分かってるけど、そ、んなに何回もセックスって言わないで……っ」
俺が顔を赤くして言えば、ヒューネルは笑いながら俺の顔を覗き込んでくる。
「な、にっ……?」
「いや、もう一回はセックスしたのに、まだ恥ずかしいのかなって」
「そりゃ、あの時は必死だったから」
「エレンの方からしようって言ってくれたもんね?」
「からかわないでよ。俺は辛かったんだから」
あの時の辛さを思い出して涙を浮かばせると、ヒューネルは俺を抱き寄せて、指先に柔らかく口付けてきた。
「ごめん。今まで散々、君を傷つけた。こんなに酷い俺でいいの?」
「うん、ヒューネルがいい」
迷いなく答えて、間近でじっと灰色の瞳を見つめると、熱っぽく見返された。
「俺はエレンのことを一生離してやれない。その次に生まれ変わろうと、永遠に離さない。魂が尽きるまでずっと一緒だ。それでもいい?」
「うん。ヒューネルじゃないと駄目だよ。ヒューネル以外何もいらない」
しっかり答えた瞬間、ヒューネルは俺の唇を塞ぎ、幾度も啄んでは、口腔に舌先を潜り込ませて貪ってくる。
「っ、んぅ、っ……ふ、……」
息継ぎもできないほど激しい口付けにぼんやりしてくる中、ゆっくりと押し倒されていく。俺は僅かでも離れたくなくてヒューネルにしがみつこうとするけれど、それではヒューネルが服を脱がせられないと気づいて、渋々少しだけ身を離す。
「Tシャツ着てくれててよかった。脱がせやすい」
「っ、ぁっ……」
脱がせやすいと言いながらも、脱がせる時間さえ惜しいと言わんばかりに、ヒューネルは俺の首筋を柔く食みながらシャツの中に手を入れて肌を撫でる。臍をくすぐられ、こそばゆさに身を震わせると、耳を舐められた。
「ン、ふ、ぅ……」
耳たぶをねっとりと舐めたかと思えば、中に尖らせた舌先を入れてこられて、ぞくぞくと背筋に甘い痺れが走る。
「やっ、……」
「エレン、耳弱い?」
「ち、がっ……」
じゅぽじゅぽと音を立てながら嬲られ、耳が弱いのではなく想像してしまうのだと答えようにも、恥ずかしくて答えられない。けれど結局、ヒューネルの指先が触れてもいないのに立ち上がっていた胸の尖りに辿り着き、あっさり見破られてしまう。
「気持ちいいんだね。ツンと勃起してる。触ってって言ってるみたい」
「ん、ひゃっ、……」
気がつけば、シャツを首元までたくし上げられ、片側の尖りをきゅっと摘まれながら、もう片方を口に含まれていた。飴玉を転がすように美味そうに舐め回されたかと思えば、女の母乳を吸うようにきつく吸われて腰が浮く。
「やっ、そんな、吸わなっ……ンンッ」
「こんなに吸ってたら何か出るかなあ?」
そんなふざけたことを言いながら、ずるずると音を立ててむしゃぶりつかれる。
「出る、わけなっ……ひぁっ」
「そう?神産みなんてできたんだし、母乳も出せるかもしれないよ?」
「やっ、やぁあっ……」
そう言われると本当に出そうな気になってきて、少しだけ怖くなって目尻に涙を浮かべる。するとそれにすぐに気づいたヒューネルが、すかさず指で拭いながら微笑む。
「怖くて泣いてる?可愛い」
「うっ……、ひっ」
褒められてきゅうっと胸が甘く疼いたところで、また胸を舐め転がされる。自分のそこが赤く熟れた果実のようになっているのを、見なくても肌で感じる。あまりに舐められ続けるせいか、次第にあらぬところまで反応してきてしまうのを感じて、悟られないように腰を引こうとしても無駄だった。
「こっちも触ってほしい?」
「ひゃあっ……」
あっさり見抜かれて、いきなり反応しかかっていた中心をきゅっと握られて高い声が出る。恥ずかしくて、でももっと触れてほしくてそこを押し付けるようにしてしまったのに、ヒューネルの手は素っ気なく離れていく。
「あっ……、な、んで」
思わず残念そうな声を上げる俺に微笑みかけながら、ヒューネルはさっき舐めていたのとは反対側の胸に吸い付く。
「あぅっ……」
「ここ、気持ちいいでしょ?」
「へ?ぁ、あンっ……、か、噛まない、でぇっ」
かりっと音が立ちそうなほど強く噛まれ、かと思えば今度は優しく吸われて、翻弄されてしまう。
「ここだけでイってみせて。できるよね?」
「そ、んなっ、むっ……ひぅっ」
無理、と言おうとした言葉を封じるように、甘味を味わうように舌先でころころと転がされる。できないと思っていたのに、痛みさえ感じるほど散々弄り回され続けるうち、下肢はヒューネルに迎合していき、着々と硬度を増していった。
同時に、まるで遅効性の毒を与えられているように、触られれば触られるだけ、緩やかにだが、確実に胸の感度が上がっていく。女みたいで嫌だ、恥ずかしいと思う自分の意思を抑えつける勢いで、快楽が最高潮に達してしまった時。
「エレン、愛してる」
両方の胸の尖りを摘まんだまま、耳元に唐突にそんな睦言を囁かれてしまえば、抗う方が無理な話だった。
「ぁあああっ……」
高い嬌声を上げながら絶頂を迎え、思い切り勢いよく白濁を吐き出した。あまりに勢いが良すぎたのか、白濁が少しヒューネルの頬にかかってしまう。
「あっ、ごめ……んぅ」
謝って指先で拭おうとしたのに、手首を掴まれて口を塞がれる。
「ん、んぅ……」
なぜか褒めるように頭を撫でられ、心地良さとともに心がくすぐられるような嬉しさが込み上げる。
「ちゃんとイけたね。しかも俺の言葉で感じたんでしょ?偉い」
「っ……」
唇を離したヒューネルは、そう言って微笑みながら、頬についていた白濁を手に取り、あろうことかゆっくりと舐めていく。その淫靡な姿に、思わずごくりと生唾を飲み下すと、そんな俺の様子を見てヒューネルは楽しげに目を細めた。
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