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重たい足取りで、帰宅する気になれなくて、近くのコンビニに足を運んだ。 コンビニの雑誌コーナーの前で立ち止まり、手前の雑誌を手に取って、適当に、意味なくパラパラとめくった。 どのくらいここにいたんだろう。外はすっかり暗くなっていた。 持っていた雑誌もずっと同じページで止まっていた。 開いているページに視線を落とすと、恋愛特集の文字が目に留まった。 『彼氏の浮気を疑う瞬間は?』 『浮気を確信したら、どうする?』と言う質問欄を見た瞬間一気に意識を持っていかれた。 いや、俺の場合、浮気とかそう言うんじゃないか……。 そう思いながら、続きを読んだ。 『元彼がデート中に突然現れたらどうする?』 『元彼の出現に、どう対応する?』 これだ!!! しっかりと雑誌を抱え込み、顔の位置まで上げ、文字を追った。 *** 「はぁ……。すっかりおそぉなってしもたなぁ。」 「ホントだよ。お昼から居座る奴がいるか?」 「えぇやん。昔のよしみやし?」 「よしみってなんだよ。ただ、お前の好きな奴が俺の親友だったから引き合わせただけだろう。」 「えぇ!すごぉい。じゃ、さっき話してた昔の恋人って、店長の親友なんですか?」 食い気味で来る俺の店の従業員は、虎太郎の前に立ってグイグイと話を聞こうとする。 「そやで?むっちゃかっこえぇねん。こいつとちごてな?」 こいつもこいつで、もっとなんか言い方ってものがあるだろう。 「えぇ、けど、店長も、素敵な彼氏さんいるんですですもんねぇ?」 突然話を振られ、鍵をかけていた手元が狂い、ガシャンと鍵を落としてしまった。 「お?その反応、昼間のあのスーツの兄ちゃんがそうなん?あの時のエレベーターの時の人やんなぁ?」 「あぁ、そうだよ!あいつが俺の恋人だ。いいか!お前!絶対手をだすなよ?」 すくっと立ちあがり、人差し指を立て、虎太郎に向けた。 「あぁ?なんなん?別に手なんかださんんわい。ん?あ、せやけどちょっかいは出したくなるタイプやな。」 「だからそれをやめろっつってんだよ。」 ワイワイと賑やかな話をしながら、店を後にした。 「ってか、なんであの時無視したん?」 「「気が付かなかった。」ではすまさへんで?」 話をかぶせるように、言われ言葉をなくした。 三人でフラフラと歩いていると、虎太郎が突然方向を変えてコンビニに入っていった。 「お、おい、何処行くんだよ。」 「たばこぉ。」 「あ、私、お先に失礼しますね。彼氏が今日、家でご飯作って待っててくれてるんで。」 「おう。お疲れ。」 従業員を見送ったあと、ゆっくりとコンビニに足を向けた――――。

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