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-存在意義の話-

「誰かに必要とされる」という感情が分からなかった僕は、高校生の頃に知らない男にレイプされた。 それは、16の時だった。 すっかり暗くなってしまった夜道を歩いて帰宅していると、ゆっくりと近づいて来た車の中に突然引きずり込まれてしまった。 訳の分からないままに暴れると、見ず知らずの複数の男に殴られて、蹴られてそのまま衣服を脱がされていく。 抵抗すればする程に拳が飛んで来るし、恐怖のあまり縮こまればガムテープで手脚をグルグルに巻かれて身動きを取れないように固定されてしまう。 「怖い、助けて」なんて言葉が頭を過ぎったけれど、友達なんて居ないし両親は俺に興味すらない。 いつだって縋れるものは自分自身だけなのに、その自分さえも今や縋るに縋れない状況だ。 ぼろぼろと涙だけが零れ落ちて意識が朦朧とし始めた瞬間、肛門に無理矢理男性器をねじ込まれて無理矢理意識を引き戻されてしまった。 あぁ、あの感覚は今でも体に焼き付いている。 ぐちゃぐちゃと嫌な音をさせながら、内壁が強引に引っ張られて腸内が傷ついていく感覚は苦痛でしかない。 本来なら排泄をする為だけの場所なのに、そこを無理矢理こじ開けるかのように太くて熱い塊が入って来て強引に摩られる。 『初めてだからきついね、がんばれ、泣いてる可哀想』そんな言葉を口にしながら周りでケタケタと笑う男達は、俺の中に代わる代わる精液を吐き出してしまう。 気付けば下半身は男達の精液まみれで、もう誰が誰のものだか分かりはしない。 唯一分かるのは自分が失禁してしまっていることだけ。萎えきった性器の先端から垂れ流しているせいで、臍に黄色い水たまりが出来ている。 「ほら、頑張れ頑張れ、あとちょっとだから」 「……〜ッ」 苦しいとか、辛いとか、いろんな思考が頭をぐるぐると目まぐるしく回る状況の中、ふと閉じて居た目を開けると楽しそうな表情の男が見えた。 ーーーそれは、実に非現実的な光景だった。 けれど、そんな非現実的な物を見て瞬間的に「俺を犯しているこいつはなんて幸せそうな顔をするのだろう」と思ってしまった。 俺を殴るたびに笑顔になって、青アザや鼻血が吹き出る度に欲情して性器をそそり立たせる。 腰を振って気持ち良さそうな顔をして、俺を必要としてくれている。俺で、俺の体で気持ちよくなってくれている。 あぁ、今まで誰にも必要とされてこなかった俺が、犯されることで目の前の人間に必要とされる。 友達も両親も必要としてくれなかったのに、コイツらは俺を、俺だけを見て俺を必要としてくれている。 自分の存在意義が今、ここにある。 朦朧とする意識は殴られて腰を打ち付けられる度に引き戻されて、体の芯がビリビリ痺れて熱くなってもっと欲しくなる。 痛いはずなのに気持ちよくて、嬉しくて、堪らなくて体中が熱を持ったように熱くなる。 「おっ、いいねぇ。坊やもだんだん気持ちよくなって来たのかな?勃ってきたじゃねぇか」 必要とされている喜びが、快楽に挿げ替えてしまった痛みが、体を酷く支配する。 もっと必要として欲しい。 誰かに必要とされたい。 必要とされるなら、どんな形でもいい。 あぁ、もしかしたらこれが俺の欲しかった「存在意義」かもしれない。なんて思ったんだ。
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