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指先の熱-2 side千尋

昔から痛みでしか安心する事が出来なかったせいで、今の恋人と付き合ってから様々な人間をあてがわれるようになった。 非道徳的で、犯罪じみた欲求を満たしたい人間にとって俺みたいな存在は実に貴重らしい。 だからこそ、いろんな人に使ってもらうんだって恋人は言っていた。 痛みで満たされている俺の事が恋人は好きなんだって。だから毎日毎日飽きもせずにソウイウ欲求のある人間を紹介してくれる。 それこそ、殆ど毎日。 対して恋人とセックスする事は殆ど無くて、それどころかデートなんてものも殆どしてくれない。たまに変な関係だとは思うけれど、反抗出来ないのは「図星」だからなのかもしれない。 だって俺は、性欲処理として扱われたり痛みがないと存在する事が出来ないから。存在しちゃいけない人間だから。 それに、酷くされない日は馬鹿みたいに薬を飲まなければ眠れないし、だったら無理矢理されて意識を飛ばしてもらった方が楽だ。 ……何より恋人のことも好きだから何をされたって構わない。 「こんにちは」 「ああ、君が千尋くんか」 恋人からのメールに書いてあった場所に行くと、スーツを着たサラリーマンみたいな人が立っていた。 身長が高くて、眼鏡の見た目は凄く優しそうな人。 「今日はよろしくお願いします」 「宜しくね。それじゃあ、車乗って」 軽い挨拶をすると近くに止めてあった車に案内された。躊躇なく車に乗り込むと、運転席に乗り込んだ男がすぐに運転を始める。 えっと……確かメールには「賢治」とか書いてあったっけか。 「あの、賢治さんって呼んで良いですか?」 「いいよ。俺は千尋くんでいいかな?」 「はい、呼び捨てで大丈夫ですよ」 たわいもない会話。 こんな人がちょっと危ない性癖を持っているだなんて信じられない。まぁ、それは俺もか。 「以外と可愛い顔してるんだね、もっと変な子が来るかと思ってたから少し吃驚したよ」 「ふふっ、そう言ってもらえて嬉しいです」 暫く運転したところで連れて行かれたのは、ごくごく普通のラブホテルだった。 どこで行為をするのかは恋人が勝手に決めてるみたいだからよく知らないけれど、自宅でしない限りラブホテルみたいなホテルのお金は基本的に相手持ちらしい。 以前、気になって恋人に訪ねた時にそう言っていた。 欲求を満たすと言う意味では俺も満たされているのだから割り勘でもいいのに。なんて思うのだけれど。 ホテルの一室にチェックインすると、部屋の中のベッドに腰掛ける。 「本当に何してもいいの?」 「はい、死なない程度であれば基本的に何でもおっけーです」 へらっ、と笑ってそう答えると賢治さんはあからさまな戸惑いの顔になった。 初めて会った人のほとんどは、皆こんな顔するんだよね。たまに最初から食いついてくる人も居るけれど。 きっと、まだ背徳感とかに苛まれているんだろうと思う。そんなもの、俺には要らないのにね。 「骨もヒビくらいなら耐えられますよ」 「…そう。それじゃあ脱いで、身体見せて」 ゆるく返事をして、賢治さんの目の前に立つと、着ていたワイシャツに手を掛けて一枚一枚洋服を脱いでいく。 もちろん、下着も何もかも脱いで。 「汚い身体だね」 「あはは……昨日もちょっと相手してたので」 全部脱いで賢治さんの前に立つと、馬鹿にしたような憐れんだ目で全身を舐めるように見つめられた。 青痣だらけで内出血を起こした腹、手枷や足枷の擦れた跡、ピアスの通された乳首に、痛めつけられすぎてぼろぼろの性器。 自分でも汚いとは思うけれど改めて言われると、ちょっとだけ胸が痛い。 「凄いね、本当に痛いことが好きなんだ」 「はい。だから、賢治さんの好きな事をいっぱいして欲しいです」
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