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7月【1】『1学期のおわり』

1-1 失恋記念日 彼女は焦れに焦れていた。 同志であり親友と呼ぶに不足無いママ友と、Limeのやり取りをしたのはもう1ヶ月も前の事だ。 『なんと!うちの天使ちゃんに王子様が現れましたーヽ(〃*^▽^*)/*♪  リビングでイチャイチャちぅ♡』 はっっ!?どういう事?! 口からポロリと溢れたマドレーヌもそのままに、彼女は慌てて返信を打った。 『うちの子は!?  じゃあ、うちのは正式にフラレたって事なの!?ヾ(・ω・`;)ノ』 『フラレたってw  そもそも2人共互いにそんな気無かったじゃ~ん(笑)』 こ……こいつ…!! 天使ちゃんに王子が出来てすっかり浮かれてやがる!!憤怒 『フザケんな!  天使ちゃんはうちに嫁に来る予定だったのに!!  それ、どんな男!?』 乱暴にババッと打ち込んだ文字を送信し、ディスプレイを睨みつけながら返信を待つ。 『長身、イケメン、パツキン、ちょいヘタレ、ベタ惚れ、チャラく見えて意外と真面目で誠実。ってとこ~♪』 『フガーッヾ(#`Д´。)ノ  リア充爆ぜろ!!』 『口悪い母ちゃんだなww』 『誰のせいだコノヤロ(#^ω^)』 『でも、中々良い子なんだよコレが。  イケメンだしさ(←ここ重要)』 『………はぁ… ( ´Д`)=3  俺の天使……。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。』 『誰の天使だ!?  うちの天使だ!! ヽ(*`ω´*)ノ』 重ねられるやり取りに、溜め息が漏れる。 ああ…、うちの嫁が…… あんな可愛い天使ちゃん、他に居っこないってのに…… 逃した魚は国宝級だぞ、息子よ。……シクシク… Limeの遣り取りを放棄して、彼女は座っていたソファに横たわり、突っ伏した。 今日は息子の失恋記念日だ。 夜は大好きなハンバーグと唐揚げでも作ってあげよう。 けれど今は、なんのやる気も起きない。 もうダメだ……。 この先何を楽しみに生きていけばいいのか……… もういっそ、二次元に引き篭もろうか……シクシクシク…… その時、床に投げ出されていたスマートフォンが、Limeの受信を告げた。 「ああ?別にもう用無いんですけど?」 トゲトゲした口調で呟き、長い腕を伸ばしてスマートフォンを拾い上げると、一応内容を確認する。 「……?……!?……!!!」 彼女の死にかけていた瞳が大きく見開かれ、そして輝きを取り戻した。 いや、先程よりも、強く明るい光がそこには宿っていた。 『ちなみに、そちらのイケメン君の嫁候補も今うちに来てま~すヽ(*´∀`)ノ  めっちゃ可愛い小動物ちゃん!礼儀正しくて超良い子!!』 『なんでうちじゃなくてそっちに先に連れてってんだ!?あの野郎!!  求ム写真!!Щ(oДoщ)ギブミー』 『紹介されるまで待たれよ(*´艸`)ムフフ』 『待てるか!』 『その内連れてくんじゃね?  ダイジョブダイジョブ~♪』 ………って、あれから1ヶ月余。 全然連れて来ねえじゃねーか!!

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