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[番外編]あなたのとなりで愛を知る ③

「だからせめて今年は刈谷くんで初めようかなと。だってほら俺、刈谷くん好きだし」 「……そうか」 「我慢は身体に毒だなって思ったんだよねー」  ほら、俺、やりたいこととか言いたいこととか腹に溜め込まない性質だから、と中村はあっけらかんと続けたが、なんだそれ羨ましい。ものすごい羨ましい。  いや、別にやりたくないことをやってるつもりはないのだけども。  俺の言いたいことは、言葉になることのほうが圧倒的に少ない。  言おう言おうと考えている間に話題がきれいすっかり流れ去っているのが関の山だ、というだけだけど。  ……でも。 「俺のこと考えてくれて、嬉しい」  そっと視線を中村に落として、告げる。本音だ。疑いようもなく。 「ありがとう」 「――――ッ!」 「なか、むら?」  おもむろに立ち止まったと思ったら、中村が顔を押さえてうずくまった。中村の唐突な行動にはわりと慣れてきていたつもりの俺ではあるが、若干びくっとしてしまうのはこの際ご愛嬌だと思って頂きたい。
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