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決死の思いで睨む俺を見て、奴らは一瞬だけ素っ頓狂な表情を浮かべると再びゲラゲラと高笑う 「盗ったもの?何だそりゃ」 「俺ら何か盗ったっけか~?」 戯けた顔でしらを切るコイツらに苛立ちが募り、俺は更に問い詰めた 「しらばっくれないで下さい!ペンダントと財布、奪い取ったんだろ!!」 「人聞き悪ィこと言うなあ?あれは盗ったんじゃなくて慰謝料ってやつ?」 奴らの一人がそう言うと、端にいたもう一人の男がポケットから金色のペンダントを取り出す 「あっ、母さんの…っ」 それを見て金子くんが慌てふためく 「何だこれ。よく見るとハートじゃねえか、ダッセー」 ペンダントを手にした男が、ケラケラと笑いながらチェーンを指先に引っ掛け振り回し始めた。その勢いで今にも吹っ飛んでしまいそうな危うさに、俺は無心で体当たりを仕掛ける。だけど、そんな勇気も虚しく意図も簡単に交わされ、その手は高く持ち上げられてしまった。 「返せ!!」 俺はそいつの持つペンダントに手を伸ばしたが、またしてもヒョイと左右に交わされる。 「返せってば!」 幾度となく腕へ飛びかかろうとしても、奴の手の高さには及ばず、惨めな程に嘲笑われては弄ばれる。もっと身長があれば……と、唇を噛み締めながら、低身長に生まれてきた自身を怨んだ。 「強太くん…もういいよ…僕…諦めるから…」 「良くねーよ!」 こんなの悔しい……! 何で金子くんが負けを認めなきゃならないんだよ…何で善良な人間が損をしないといけないんだよ!何でこんな奴らばかりが、のうのうと生きる世界が当たり前になってんだよ! 何で………何で……… おかしいだろ!こんな世の中!
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