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前屈みに囲う黒髪野郎が着ている緩めのカットソーは襟元が大きく開いていて、こいつより頭一つ分ほど身長の低い俺の目線に露出した胸や肩が映り込む。そこから覗く肌には、本当にヤンキーかと疑いたくなるほど傷一つなかった。 『無敗の喧嘩王』なんていわれる由縁なのか……? 相手は男だと分かっているのに、美麗な艶っぽさを感じてしまい、何故かドキドキと心音が激しく波打つ。そして、こいつの首筋から香る花のような甘い匂いに魅惑され、意識が奪われそうになる。 「シャツ…脱がされたんだ?」 「え……」 「こんなに、はだけちゃって……おいしそ……」 今……また幻聴が聞こえた気がするんだけど。 え、おいしそう?可哀想の間違えだろ?なんて考えてる間に、黒髪野郎の指先が首筋に触れ、そこからツー…と襟をなぞって胸元へ流れる。 「ちょ、何っ」 「ね、ついでだから…俺にもエッチさせて?」 え……は?……はあ!? 何を言い出すんだ、このゲス野郎! ついでって何だよ、脱がされたついでってか!? 返す言葉も見当たらずに視線を奴の顔へ移すと、また静かに口許を緩めて笑みを返される。だけど、その目は笑っていないように思えた。 コイツ……何かヤバい…… 完全に頭沸いてるだろ モヒカン野郎といい、このゲス野郎といい、月詠高校はホモばっかか!あれか!女が少なすぎて飢えてんだろ!? 「さっ、触んないで下さい!」 その手を振り払って開いたシャツを両手で閉じ、侵入を拒んだ。 「えー、さっきのモヒカン君にはヤらせたくせに、俺は駄目なわけ?」 何なんだコイツ…… バカなの?ねえ、馬鹿なの? 頭にウジでも飼ってんのか?! 「やらせてなんかいません!い、いいから離れて下さい!俺、男ですよ!?」 「うん、制服見りゃ分かる」 なんだ制服って……顔で分かれコノヤロー 口調は柔らかいのに、掴みどころのない笑顔。 他の厳ついヤンキー達とはまるで違う、おぞましいオーラを感じる……
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