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第40話 10、うなじの噛み跡

「ジル、挿入るよ」  切羽詰まったようなリヒトの声色に、ジルの心が歓喜する。ぐぐっと押し込むようにリヒトの性器が侵入する。 「あっ、あっ、あっ」  その侵入に合わせるように、ジルの嬌声が飛び出す。 「ジル、ジル」 「ああっ、リヒ、トっ、んんっ、ああん」  止まることなく、一気にリヒトは奥まで入り込んだ。そのままリヒトは、ゆるゆると腰を動かし、徐々にその速度を速めていく。 「ああっ、あん……リヒ、トっ」 「ジル、ジル」  ジルの喘ぎ声が漏れるたびに、リヒトの動きが激しくなる。最奥の扉をこじ開けるように、強引なまでに穿っていく。 「ジルっ」 「ああっ!」  うなじを舐め上げ、リヒトはジルに噛み付いた。その瞬間、ジルの視界は真っ白になり、チカチカと眩い光を感じた。 「あああっ! アアッ……いい、ああっ、いっ!」  ドクンと、波打つような全身の痺れを感じる。  リヒト……!  ジルは一瞬意識を飛ばしたが、強烈な快感によって、再び覚醒する。リヒトは最奥に捻じ込むように突き上げ、ぐぐっと押し込んだ。ドクッ、ドクンと熱い熱を感じる。  リヒトと、繋がっている……熱い。  体中が燃えるように熱い。先程の熱など些末なほどに。ジルの意識は霧散した。リヒトはそのままくったりと身を預けてくる。  リヒトも、イッたんだ……。  ぼんやりする意識の中で、それだけはしっかりと感じていた。  リヒトが、噛み跡を舐めるたびに、得も言われぬような喜びが、体中を駆け巡る。そしてリヒトもまた、今までにない全身を駆け巡る熱いものを感じていた。  番になるって、こういうことなんだ。  リヒトは体中で理解した。 「ジル、俺と一緒に生きていこう」  リヒトの声が、ジルの脳内に響き渡る。  ああ、僕はリヒトの番になれたんだ……。 「ありがとう、リヒト。僕、リヒトと生きていきたい……」  互いの体を抱きしめあう。そして互いに、今までとは何かが違うと感じていた。それを確かめるように、リヒトは囁く。 「ねえ、ジル、いい?」  それを理解し、ジルは微笑んだ。 「うん。いいよ。リヒト、大好き」  リヒトは歓喜した。これが幸せというものなのだと、そう思った。 「俺、まだ頼りないけどさ、立派な人になれるよう頑張るからさ」 「僕だって同じだよ。僕もリヒトの横に立てるように頑張る」  互いにまだ繋がったままの状態で、愛を囁き合う。長い長いαの射精が終わると、再びリヒトの性器が力を取り戻す。 「ジル」  そう言うと、リヒトはもう一度、ジルを貪った。  気付けば、互いに交わり合う中で、ジルはくったりと脱力していた。  ……止まらない。やばい、ジル、飛んでる。もう、ダメだ、ダメダメ!!  そう必死で自身に呼びかけるが、リヒトは止まらない。 「ごめん、ジル!」  くったりと意識を飛ばしたジルに、それでもガツガツと貪るように腰を動かしている自分を、リヒトは獣だと思った。それでも、こんなに愛しい人を離すなんて出来っこないと思った。しかし。 『いい加減、落ち着け! この馬鹿っ! いい加減止まれ』  ラオネの脳内の声で、はっと覚醒する。 「え?」 『え、じゃねえよ。もう一日経ってんだ。いい加減ジルを休ませてやれ』  そう言われ、改めてジルを見ると、ジルはくったりと脱力し、意識はなかった。 「あ、え? あ、れ?」 『あれ、じゃねえよ。一度風呂入れてやって、寝かせてやれ』 「……ああ、うん」 『呆けてんじゃねえぞ。いいか、今すぐだ。今すぐやめて、ジルを風呂に入れること! その後は休ませること! いいなっ!』  ハッと気づけば、もう既に一昼夜が過ぎていたのであった。  頭では理解している。  でも体が止まらない。 「あ、あのさあ、兄貴」 『なんだ?』 「止まんないんだけど、どうしよう」 『どうしようじゃねえよ、この馬鹿っ! いい加減花畑をしまえ! いいか、このままだとジルを抱き潰すぞ。もう意識なんてないんだろ? お前の欲じゃねえよ。ジルのこと考えてやめてやれ』 「ジルの為……ジル!」  その瞬間、リヒトは思いきり腰を引いた。  ジルの後孔から、流れるように自身の精液が零れていく。腹はぽっこり膨らんでいるかのように見え、リヒトは我に返った。  改めてみると、ジルの体には、無数のキスマークと噛み跡が散っていて、血の気が引いた。  俺だよな? 俺がやったんだよな? 「ジル、ごめん、ジル」 「……んん……」  しかしジルは目を覚まさなかった。  リヒトの部屋には、浴室も簡易タイプのキッチンも備え付けてある。ギュスターヴ家の部屋は、来る日の為にあらかじめ、そういう作りの部屋も存在している。  そしてリヒトは、慌てて湯の用意をし、ジルの体を洗った後に、湯船に浸かった。 『不本意だが、俺が今からお前たちの部屋の前にシーツや食事とかを運ぶから、威嚇するなよ』 「ええ? ああ、そっか、はい、了解」 『いいか、今から行くからな』 「ん」  自分の手の中にいるジルに触れられないなんて、なんの拷問だと思いながらも、リヒトはジルを襲わない様、必死で理性をかき集める。その時、ドアの付近でαの存在を感じ、怒りが込み上げてきた。しかし先程のラオネの言葉を思い出し、必死に耐える。  あれは兄貴だ。あれは兄貴……  そう思い耐えていると、ふっと気配が消えた。ホッと息を吐いたが、ジルを早く休ませようと、さっと湯船から出た。  丁寧にジルの体を拭き、ひとまずはソファーに休ませる。  その間に、急いで空気の洗浄をし、周囲を伺いながら、ささっとラオネの差し入れを部屋の中に入れる。そして、あり得ない程乱れたベッドを整える。  再びジルを抱え上げ、そっとベッドに休ませると、ジルの全身にヒールをかける。気休めにでもと思いながら、もう一度ヒールをかけた。  差し入れの飲み物を取り出し、ジルに口移しで飲ませる。  一昼夜とラオネは言っていた。  一日中、ジルは飲まず食わずか。俺何やってんだ。  落ち込むも、ジルにしっかり水分を補給させる。半分ほど飲んだところで、リヒトは残りを一気に飲み干した。ジルを見ると、とても深い眠りに入っていた。  このリヒトの部屋は、大きめの一部屋なので、ジルを見ながら、少し離れたソファーに座った。  気持ちよかった……。  ほうっと息を吐きながら、回想する。  なんだろう、この充足感。それと同じように、ジルに対する気持ちが半端ない。  今までだってジルひとすじだったのに、これ以上の独占欲があるなんて、知らなかった。  頭をガシガシと掻き、はあっとため息を零す。  ほんと、俺、何やってんだろう。  こんなになるまでヤってたなんて……でも、でもさあ、ジルがかわいいし、ジルが応えてくれるし、あ、あんな艶めかしい声聞かされたら、俺の理性なんて吹っ飛んじゃうよ。  もう一度盛大なため息を吐く。  でも、それでジルを抱き潰しちゃったら……はあっ……ジル、かわいかったな。ジル、ジル。  もう一度と思い、ハッと我に返る。  ダメダメ! ジルを休ませなくっちゃ。  あんなにくったりしてたんだ。  受ける方は負担が大きいっていってたしな。ジルが今そうなんだから。  ジルを風呂に入れたことにより、ジルの裸体を見て触っている内に、リヒトの性器は痛い位に張りつめている。先程、ジルの後孔から自身の性器を引き抜いた時、あり得ない程の精液が流れ出ていた。浴場でも、後孔に指を入れ、中の精液を掻きだした時にも、あり得ない程の量が流れ出てきた。  あんなに俺、出したんだ……え? ええ~!  そこでリヒトは気付いた。  俺、避妊したっけ?  慌ててリヒトはジルを見た。
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