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第18話

「うんまぁそうなんだけど。パスタ茹でてレトルトのソース絡めるくらいならできると思ったんだけどね。腕怪我してなけりゃソースも作るとこだけど。それにしても調味料とか期限切れの多いよ?」  ああ、と小島さんがまたも苦笑を漏らした。 「補佐付きで以前料理できる人がいて、その人が色々揃えたらしいけどな。その人若頭付きになったもんだから。今いる奴らは俺を含め誰も料理できないからなぁ。……パスタ買ってきてソース買ってくりゃ作れるのか?」 「うん。簡単だよ。鍋もあるし大丈夫。お弁当とか買ってくるより安上がりだもの」 「別に補佐は高い弁当買ったって文句なんか言う人じゃないけど……でも常盤がそれでいいなら買ってこようか?」 「うん! あ、じゃあ明日の朝用のパンとか卵とかウィンナーとかは? 今朝はコンビニのおにぎりとかだったけど、いつもそう? 飽きない? あ、今日の夜の分は……」 「今日の夜は多分補佐が帰ってくると思うぞ? 外食になるかまた弁当かだろうな。朝はいっつも今日みたいな感じだ」  くくっと小島さんは笑うが常盤はうへぇと肩を竦めた。 「じゃあ何買ってくればいい?」  嬉々とした様子で小島さんが聞いてきて、メモ用紙をもらい朝ご飯に必要そうなものを書きだす。  利き手だったら字も書けなかったなとしみじみ右腕じゃなくてよかったと思ってしまうが、そもそもあのチンピラに絡まらなければこんな骨折もしなかった。けど、これがなかったら都築さんに事情を話すこともなかったのだからいいのか悪いのか。  ヤクザに頼るって時点でどうかと思うけれど、何しろ誰も頼りになんかならなかったのだから、今は都築さんを信じるしかない。  任せてその後どうなるのか……まったくもって見えないが。 「腕骨折してなかったら夕飯だって作れるんだけどなぁ……」  母親は料理好きな人だった。そしてこれからの男子は料理もできるようじゃなくちゃね! と小さい頃から包丁を持たされて料理を教え込まれたので一応自炊できる位に料理はできるのだ。  ただ、今は腕を吊られているのでどうしたって無理だけど。 「多分しばらくここにいるだろう? よくなったら頼むよ! 俺たちマジ家庭料理とか飢えてるし!」  力強く息を巻きながら小島さんが食いついてきて常盤はちょっとばかり引きながらもうん、と頷いた。  自分だって親切にしてくれた人達にそう言ってもらえれば料理して食べてもらいたいと思う。  何しろ両親が亡くなってから誰も常盤の事など気にする人などいなかったのだから。  ここは見知らぬ人ばかりなのに何故か落ち着いて、そして馴染んでいる自分に苦笑を漏らしていると、小島さんはじゃあ行ってくる! と喜んで常盤の書き出したメモを持って出かけて行った。
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