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第6話

本当にこいつは自由極まりない。 都心に住んでいた時もそうだった。次の日早いからと断っても、少しだけだと訪ねてくる。結婚すると言い出した時だって…そうだった。事後報告だった。だからと言って引き止めることはなかったが。所詮体の関係と割り切って始まったからなのか、宮沢のプライべートはさほど気にならなかった。そう言えば、秀も自由なのかもしれない。 台所に戻ると、いつものようにコーヒーのいい香りがして、小田が入れてくれたのがわかる。 小田さんは営業をしてるだけあってよく気がつく。次に何をしようとしているのかわかってるみたいだ。 「ありがとう」 そう言って腰を下ろしてその表情を横目で見る。いつもの笑顔は返ってこないのはさっきのキスシーンをみたならその態度も仕方がないと内心溜息を吐く。 「あの…宮沢さんって…」 それは秀と宮沢がの関係を聴きたいと言っている言葉だろう。男同士でキスをしているところを見れば当たり前のことだとおもう。 それを正直にこたえるべきか秀は悩んだ。酔ってふざけていたと誤魔化してもきっと小田は信じてくれる。 だけど、その誤魔化した嘘にまた嘘をうわぬりしていく、それでいいんだろうかと悩む。 逆に言えばこれはチャンスかもしれないと頭をよぎる。自分の性癖をばらしてしまえば、これからのつき合いだって偽らなくてもいい。 いつか自分の気持ちだって受け入れられるかもしれないと淡い期待を持った。そう淡い期待なのだと。ノーマルで女を愛し子供を持った小田が秀の気持ちを受け入れるとは到底思っていない。 受け入れられたとしてその先男を抱く秀に、小田が抱かれるなんて皆無に望みのない話だ。 ここはやはり誤魔化したほうが無難だと答えを出す。 「あいつ、酔うとキス魔になるんですよ。その度付き合わされていい加減慣れてしまいました」 悲しい嘘だ。好きな人と抱き合う事もできない哀れな嘘を好きな相手につく。この嘘を突き通す覚悟を持たないといけない。 小田を抱けない寂しさを宮沢で埋める自分の行為に嫌気がさしているのも事実だ。欲を消化させる行為を男のサガだといえば聞こえはいいが貫き通せない想いを心が悲鳴を上げている事も分かっている。 それでも、この先小田を抱くことは無いのだと諦めさせる行為だということも。
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