1万字とは思えない! 文庫本1冊読んだくらいの読後感!
★1万字でこの世界を描き切る、夢咲まゆ先生の底力を見ました。★やだ、なんなの、この人怖い。★夢咲まゆ先生といえば、fujossyでは長編の市川先生シリーズのイメージが強いけど、これから夢咲作品を読もうとする人は、まずこの作品から!★1万字以内で取っ掛かりやすいのに、読後は文庫本1冊読んだくらいの充実した気分になれる、どうぞこの作品から読んで!★夢咲先生は、今までもファンタジー系の作品をいくつか公開されていて、どの作品もよくて、でもいい作品なだけに「字数制限がなければ、もう少し書き込んで欲しかった」というもったいなさも感じていました。★しかし今作は徹底的に練り上げられた構成と、持ち前の洗練された文章で、1万字の中に世界観も主人公二人のキュンキュンする心の交流も、全部しっかり書き込まれています。★しかも最後に読者を泣かせる余裕まである★1万字だって、これだけのことができるんだぜ! へっへっへー♡ と嬉しそうなまゆちゃんの笑顔が脳裏に浮かぶ。執筆お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとう!★でもたぶん、この作品は夢咲まゆの代表作にはならない。彼女はこれから、このクオリティを維持したまま、新たな作品を次々に繰り出してくると思うから。★夢咲まゆ先生の可愛いサインをもらうなら、今のうちだよ!!!(改行上手くいかなかったから、★で区切りました)
物語の世界へかっさらわれて、最後の一行まで目を離せない
天の川が流れる夜空の下で、川沿いにいる蛍売りの老爺。老爺は茶碗に掬った一杯の水を銅貨一枚で売りつける。
飲めば甘い水が全身に行き渡る。
もう一杯、もう一杯と繰り返される動作の中で蘇る思い出。
夜の川原を歩く湿った空気、葉が触れる感触、捕まえた蛍を口に入れる描写が体感的で、自分の身体まで物語の中にあるような錯覚に陥る。見事な表現力だと思う。
主人公とともに茶碗の中を覗き込み、川の水を飲み干して思い出を見る。
思い出から生い立ちを知り、恋を知り、息付く間もなく怒涛の展開へ持っていかれる。
最後の一行は読者に向けられた言葉。気をつけようと思わされた。
ここまで書かせてしまう、310さんの「ほたるうり」の書もすごいパワーをはらんでいる。