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2 友達から①

「……、……」  暗闇の中、誰かに呼ばれた気がして顔を上げる。 「誰?」  その誰かに尋ねると、自分の声がいつもより高く聞こえた。いや、高いというだけではなく、まるで。 「俺、は……」  自分の手を見下ろしながらぼんやりと立っていると、また誰かの声がして、その誰かが俺を抱き寄せるのを感じた。温もりが心地よく、ずっとそうしていてほしかったのに、その人は俺から離れ、立ち去っていこうとする。 「待って」  手を伸ばし、その人を引き留めようとするが、空を掴むばかりで。 「待っ……なんで」  暗闇の中に一人取り残された俺は、無性に悲しくなって涙を流す。 「なんで、なんでっ……」  待ってって言ったのに。なんで置いていくの。  なんでこんなに悲しいの。なんで、なんで、なんで……。  寂しくて、悲しくて、虚しくて、俺は声を上げて泣き続ける。泣いたところで、あの人が戻ってくるはずがないと知りながら。

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