目次

100話 / 137,364文字 / 0
第51話 傷害 6 心の傷
5
第52話 傷害 7 心の傷
5
第53話 傷害 8 心の傷
5
第54話 傷害 9 心の傷
3
第55話 傷害 10 心の傷
1
第56話 傷害 11 心の傷
4
第57話 傷害 12 心の傷
4
第58話 傷害 13 唐変木
6
第59話 傷害 14 勘ぐり
4
第60話 傷害 15 お節介
5
第61話 傷害 16 凄いお節介
7
第62話 傷害 17 不完全な安堵
1
第63話 示談
1
第64話 おかえりって、
7
第65話 噂は、噂じゃない
3
第66話 キスをさせない (18禁)
3
第67話 行方
4
第68話 始末
4
第69話 盆 、
6
第70話 タクシー
5
第71話 コンビニ
3
第72 話 ナイフ
5
第73話 剣崎の秘策
7
第74話 バカみたいに
7
第75話 大問題
5
第76話 さらに、高光
3
第77話 丸の内
5
第78話 放たれたもの 15禁
2
第79話 凌 18禁
9
第80話 変えられないもの
7
第81話 晩餐
3
第82話 告白
5
第83話 そのあとのこと
5
第84話 そして
1
第85話 男たちの会合
2
第86話 男たちの会合 2
2
第87話 ベッドルーム 18禁風味
2
第88話 護る
2
第89話 なんで
2
第90話 失う、ってことは
2
第91話 鉛
4
第92話 変わること
5
第93話 夢 凌
5
第94話 展開
4
第95話 希望
2
第96話 面会
2
第97話 釈放
3
第98話 その、尖った肩さきに
7
第99話 最後の日に
6
第100話 本気の恋、初めての思い
6

他の作品


イラスト

イラストはまだありません。
最初のイラストを投稿しましょう!


レビュー

大人の男であること。親であること。
正直、最終話を読むまでは、すれ違いの話なのかな、と思っていて、最後は幸せになって「良かったね~」と思えるんじゃないかと、なんとなく予測してた部分もあり、わりと気楽に読んでいた。それが見事に裏切られた。 そこで慌てて最初から読み返すと、キャラの言動にいちいち納得できて、深いテーマを感じ取れた気がした。 菅山は仕事が出来て外見も良く、経済力も備え社会的にも認められている押し出しの強い大人の男で、渋カッコいい。いわゆる「ちょい悪オヤジ」。 反して高光は、外見も含めて子供のように奔放。幼さすら感じさせる言動は庇護欲を刺激する。 しかし実のところ、ちょい悪オヤジの中には、独りよがりで我が儘な少年の心が未だ残っており、高光の中には誰の言葉も跳ね返す強さで「父親の意識」が存在している。 菅山は自由な独り者であり、高光を縛る「父親の意識」を理解できない。頭では分かっても感覚を掴めない。 けれど今後それを埋めて行く作業をしていかなければ、共に生きていくことは出来ない。 そういう結論なのでは、と思った。 「ロックの日に」での菅山は、仕事は出来るけどちょっと情けないおっさんである。でもそんな人だからこそ、菅山の周りには人が集まる。 反して高光は強かった。強いからこそ一人で立ち続けた。 今回の事件や出会いは、高光にとって得がたい機会だったのだろう。父親であることだけが存在意義であった高光にとって、父親ではない自分にも価値があると思えることが、いかに嬉しいか。 「あなたから貰ったものはここにある」 それがこのセリフに集約されているように思う。 けれど、この年まで知らなかった孤独を味わう菅山は哀れにも思える。 人の幸福は、定量なのだと聞いたことがある。 大きな幸福は重い絶望を呼び、穏やかな幸福感はしんしんとした孤独を呼ぶのかも知れない。